2016年8月23日火曜日

「健康長寿」と筋肉



健康で長生きするため、寝たきりを防ぐために、
あなたがいちばん気をつけていることは何でしょうか?

よくいわれるのは、「血管の老化を防ぐ」ということでしょう。

20世紀初頭に活躍したカナダの医学者ウイリアム・オスラーは、「人は血管とともに老いる」という名言を残しています。

その言葉どおり、長いあいだ、私たち日本人の3大死因は、がん・心疾患・脳血管疾患で、第1位のがんを除けば、血管の老化に起因するものが大半を占めてきました。

そこで、健康長寿のためには「血管の老化を防ぐ」ことが大切だといわれてきたわけです。
 
日頃から、血管の老化を防ぐため、
「脂質や糖質の摂り過ぎを抑え、野菜中心の生活を心がけている」という人はとても多いのです。

しかし、平均寿命が延び続け、100歳長寿も珍しくなくなったいま、それだけでは健康長寿を実現するのが難しくなってきました。

たとえば、2011年以降、日本人の死因第3位だった脳血管疾患は第4位となり、代わりに肺炎が第3位になりました。

これは、医療技術の進歩によって脳血管疾患で亡くなる方が減少し続けてきたためです。

血管老化で亡くなる方が減ったのは、とても喜ばしいことですが、代わりに寝たきりになる人が
増え、肺炎で亡くなる方が増えるという、なんとも皮肉な事態となったわけです。
 
同じ長生きするのなら、寝たきりよりも、「自分のことは自分でできる」という状態が少しでも長くあってほしい、と願うのが自然ではないでしょうか。
 
そこで注目すべきなのが、「筋肉」なのです。

私たちの体は、立ったり歩いたりすることで健康を保てるようにできています。

そのため、筋肉が衰えて歩くのが困難になってくると、健康を保つのが難しくなり、老化にも拍車がかかって寝たきりのリスクが高まります。
 
そういう意味では、「人は、筋肉とともに老いていく」といえるでしょう。

いまや、筋肉の哀えを防ぐことこそ、健康長寿の鍵なのです。

ただし、血圧を下げる薬など、血管老化に効く薬はあっても、筋肉の哀えに効く薬はありません。

寝たきりになりたくなければ、自分で筋肉を鍛えるしかないのです。




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2016年8月13日土曜日

「疲れやすさ」と寝たきりと

頑張って仕事や家事をしたり、体を動かしたあとは、年齢に関係なく誰でもだるさや疲れを感じます。

そんなとき、「単なる働きすぎ」「運動のしすぎ」と受け流していませんか?

もともと日本人はとても真面目で勤勉な人が多いので、若いころから「疲れる」ということに慣れており、疲れをあまり気にしません。

頑張ったのだから疲れて当然、こんなものだろうと、十分な休息もとらずに無理をしすぎる傾向すらあります。

若いうちはそれでもよいのですが、40代、50代になり、「以前より疲れやすくなった」「疲れが抜けなくなった」と感じたら、「年のせいかな」とため息をつくだけでなく、筋肉の衰えを疑ってみましょう。

運動をしてエネルギー不足になると、肝臓や筋肉に蓄えられているグリコーゲンという糖の一種が分解され、エネルギーが生産されます。

このとき、副産物として発生する乳酸が蓄積すると「疲れた」と感じるため、かつては乳酸=疲労物質と考えられていました。

しかし、最近では、乳酸自体は、決して悪者ではないことがわかってきました。

ふつうなら、乳酸は肝臓に運ばれてエネルギーの元となるグリコーゲンをつくるために使われます。

そのため、時間が経てば血液中の乳酸は徐々に減り、疲れも回復します。

ところが、運動不足の人、血流がよくない人、そして筋肉屋が少ない人は、なかなか血液中の乳酸が減らず、疲れが抜けにくくなったり、慢性的な疲労を感じるようになります。


考えてもみてください。

仮に100の力をもった人が10kgの荷物を持ち上げるのと、50の力をもった人が同じ10kgの荷物を持ち上げるのとでは、疲れ方が違うのは当然なのです。

そのため、筋肉量が減ると疲れやすくなるだけでなく、血流が悪化し、エネルギーの生産効率も低下して、さらに乳酸がたまりやすくなります。

だから、ただ歩くだけでもだるい、疲れると感じるようになるわけです。

筋肉の量は、ある日突然ガクンと減るわけではないので気づきにくいのですが、何もしなければ、筋肉はそのまま少しずつ、しかし着実に減少し続けていきます。

すると、いずれは歩くことはおろか、立つこと、起き上がることも困難になり、寝たきりへとまっしぐらなのです。

その前に糖尿病や認知症などになってしまうかもしれません。
 
「あんまり脅さないで!」と思われるかもしれませんが、これはあくまでも「何もしなかった場合」の話です。

筋肉の衰えは40代から加速し、50代から顕在化しはじめますから、
その年代になって疲れやすくなってきたと感じたら、けっして放置せず、

「本気で筋肉を増やそう!」と考えるべきです。

それが、将来の寝たきりを防ぐ第一歩なのです。



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2016年8月6日土曜日

筋肉が減ると肩こり・腰痛が悪化する!

あなたは1日何時間くらい座っていますか?

一日じゅうパソコンに向かって仕事をしているオフィスワーカーは、1日6時間以上座っているといわれています。

最近では、オフィスワーカーでなくとも、家で座りっぱなしという人が多く、学生や家庭の主婦でさえ、昔に比べれば座りっぱなしの時間が増えています。

そういう人が陥りやすいのが、慢性的な運動不足と腰痛や肩こりです。

「座りっぱなしの時間が長いと、生活習慣病のリスクが上がる」という研究結果が報告されて話題になったことがありましたが、肩こりや腰痛も、いまや立派な国民病となっています。

厚生労働省の調査でも、日本人が抱える自覚症状の第1位と第2位は、男女ともに肩こりと腰痛が占めており、2013年に発表された米ワシントン大学と東京大学などによる共同研究「2010年の世界の疾病負担研究」では、「日本人の健康長寿の最大の脅威」は意外にも腰痛だったというセンセーショナルな結果が報告されているくらいです。

残念ながら、肩こりや腰痛については、これほど医学が発達している現在でも、その発症メカニズムや治療法は明らかになっていません。

ただ、座りっぱなしで動かない時間が長い人ほど、運動不足、猫背などの悪い姿勢、長時間同じ姿勢をとることによる筋肉の緊張、関節への負担、血流の悪化などが顕著となっていくのはたしかです。

そして、そこへ拍車をかけるのが、加齢による筋肉量の減少です。

加齢で筋肉量が減少してくると、体を支える力が弱まって骨や関節に負担がかかり、それだけでも肩こりや腰痛になりやすくなってきます。

40代以降に屑こりや腰痛に悩まされる人が増えるのも、加齢による筋肉旦の減少と無関係ではないでしょう。
 
寝たきりも困りますが、先ほどの研究報告でもいわれているように、肩こりや腰痛も健康長寿にとっての脅威です。

筋肉を鍛えることによって症状をある程度抑えられますから、ウォーキングなどで全身の血流をよくするとともに、少しきつい筋トレをして筋肉を強化していきましょう。

腰痛は、大腰筋をはじめ、人腿直筋、人腿筋膜張筋などを鍛えると効果的で、ここを鍛えることで肩こりも緩和されるといわれています。

いずれも、加齢で衰えていく筋肉ですから、これらを中心に筋力を鍛えていきましょう。

寝る前は自律神経のひとつである副交感神経が優位になって緊張した筋肉がゆるみやすくなっていますから、寝る前に行なうとより効果的です。 


関連参照

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