毎年、群れをなして川を上るサケは、沿岸の人たちにとって当てにすることができるご馳走でした。
大量に獲れるので日干しにしたり、塩引きにして保存し、次の秋にサケがやって来るまで大事に食べ続けたのです。
このため、サケは「秋味」とも呼ばれました。
そしておかずの定番となり、和風スナックの名物、サケ茶漬けを生んだのです。
サケというと、まず思い浮かべるのは鮮やかなピンク色の身です。
実はこのピンク色の正体であるアスタキサンチンが、大きな注目を集めているのです。
なにしろ、抗酸化剤の王者といわれるビタミンEの何倍もの抗酸化作用もあり、ガンや認知症、動脈硬化などの原因となる、活性酸素を除去するパワーが極めて強いのです。
しかもアスタキサンチンは、女性の美しい素肌を維持するうえでも欠かせない成分で、紫外線によって発生しやすいシワやシミを防ぐ働きをしています。
サケやマスはもともとは白身の魚ですが、海でオキアミやエビなどを食べるうちに、色素成分のアスタキサンチンが蓄積されて鮮やかなピンク色になるわけです。
サケが過激に体を使いながら激流を上りきることができるのも、海水の中でアスタキサンチンを大量に体に蓄えていて、これにより激しい運動で発生する活性酸素の毒を防いでいるからなのです。
この色素成分によってサケは疲労を回復し、元気に産卵して遺伝子を残すことができるのです。
ですから、人間がサケを食べると、この成分のおかげで疲労が回復します。
赤色成分は産卵によってイクラヘも受け継がれ、紫外線から遺伝子をガードする役目を果たしています。
サケにはイライラや認知症を予防し、脳を若返らせる働きのDHA(ドコサヘキサエン峻)や、血液をサラサラにして血栓を予防し、高血圧の改善にも効果的といわれるEPA(エイコサペンタエン酸)なども、たっぷり含まれているのです。
サケの効果は平安時代から知られていて、有名な医術書『医心方』には
「気力を増すのに効果がある」とか、「脳の病気の治療に役に立つ」などとあります。
つまり、年をとるにつれて増加する脳卒中や認知症、あるいは、記憶力の低下といった脳の老化、衰えを防ぐ食材として知られていたのです。
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