2018年6月27日水曜日

「フレイル」が話題になるということ

最近、よく聞く「フレイル」ということば。

ちょっと調べてみました。

フレイルとは、体の状態が「健常」から「要介護」になる前段階のことです。

近い将来、介護が必要となり、死に至るリスクも高まります。

この分野の研究は以前からありましたが、日本老年医学会がフレイルを提唱したのは4年前のことです。ほんの最近のことなのです。

日本語でいうところの「虚弱」に当たり、身体機能や認知機能が衰えやすい高齢者にとって注目のキー・ワードとなるものです。

厚生労働省によると近年、介護が必要になった要因は

①認知証
②脳血管疾患
③衰弱、

の順で多くなっています。

しかし、衰弱の割合は年齢と共に増え85歳以上では最多になっています。

たいていの場合は筋肉などの運動器の衰えによるもので、本人はフレイルの状態にあったものと思われます。

フレイルの特徴は、適切に対応すれば再び健常に戻れる「可逆性」があることです。

フレイルの前のプレフレイル」や、さらに前の元気な状態を意味するロバストに戻ることもできるのです。
 
ただし、フレイルに適切な対応がないと「要介護」になってしまいます。

なので、健康維持に努めつつフレイルの兆候を早期に発見することが大事となってきます。

フレイルには3つの要素があります。
①一般に加齢に伴う衰えは「身体的フレイル」(筋力が実感しやすい)
②老人性うつや軽度認知機能障害などの「心理・精神的フレイル」
③独居の閉じこもり等を含む「社会的フレイル」
があります。

これらは関連性があり、一つでも当てはまると悪循環を起こす一方、どれかを改善すれば好循環が生まれ、健常に近づくこともできます。

近頃、自治体もフレイルに関心が高いのは、介護予防の観点からといえるでしょう。

今や高齢者の約2割が、介護保険制度の「要介護」または「要支援」の人です。
その「予備群」であるフレイルの人は、約1割に上るといわれます。

ある調査では、フレイルの人が4年後もフレイルだったケースは約2割だけでした。
約3割は要介護になり、約2割がお亡くなりになっています。
他方、プレフレイル等に改善していたケースも約3割あったのです。
 
もし、最近
・「減らすつもりはなく体重が減った」
・「缶のふたを回し開ける握力が弱まった」
・「横断歩道を青信号のうちに渡れなくなった」
等の変化があれば、フレイルの疑いもあります。

ところで、日本各地では今、体操教室など介護予防事業が盛んに行われています。

専門家が指導する教室もあれば、住民同士が支え合う″自主グループ″と呼ばれる活動もあり、参加者のフレイル予防にも大きな効果が期待できます。

しかし、こうした運動には参加しない高齢者も少なくありません。
そこで社会的フレイルを防ぐために、趣味等を皆で楽しむ″サロン活動″の充実を勧めています。

運動以外の活動でも、まず外出することから始まるからです。

運動といっても、日常生活の維持と要介護を防ぐためなら「歩く」ことでも効果的です。

加齢により衰えやすい筋肉の大部分は、歩くと動くので適度な運動になります。

継続が重要で、いつも歩くから、いつまでも歩ける体を保てるのです。

運動とともに、健康長寿の鍵になるのが「食事」です。

高齢者は筋肉を保つ上でも、タンパク質の摂取を心掛けたいものです。

ただし、病気などで制限されている人は、医師の指示に従う必要があります。
  
「タンパク質は運動直後に取るといい」と言いますが、あまりこだわらなくてもいいようです。

夕食だけタンパク質が多い人は、むしろ1日3食で均等に取る方が望ましいのです。

イワシの缶詰を使うオイルサーディン丼や、はんぺんにツナ等を入れる料理は、豊富
なタンパク質を手軽に取れるので朝食にも最適です。

また高齢になっても、食べられる口腔機能を保つことが大切。

かみ砕く力、そしゃく力などが低下しないように努めましょう。
 
予防のためのお勧めのトレーニングとしては、「パパパ、タタタ、カカカ」と5秒ほど繰り返し言い、それを1日3セット行うものです。

一人でもできるので習慣化しやすいはずです。

これは「自分でできるフレイル予防」として、ぜひ取り組んでみてください。


関連参照:
転倒は恐い!
中高年からの筋肉作り      
だから、歩くのがいい 






0 件のコメント:

コメントを投稿