中年を過ぎた人が健康診断や入間ドックのときにいちばん気にするのは、おそらくコレステロール値でしょう。
成人病といえば、多くの人がコレステロールを連想するぐらい、この物質は世間から目の敵にされています。
だが、なぜコレステロール値が成人病に結びつくのかを、正しく理解している人がどれだけいるのでしょうか?
日本では、それをきちんと説明してくれる医者は皆無に等しいのです。
そのため、ほとんどの人は、ただ
「コレステロール値が高いと成人病になりやすい」としか言わない医者の言葉を真に受けて、
「食事制限をしなさい」とか「コレステロール降下剤を飲んでください」
という指示に素直にしたがっているにすぎないのです。
そこに製薬会社がつけこみ、コレステロール対策を謳い文句にした健康食品のコマーシャルをどんどんと流します。
そこで、日本人は挙げてコレステロールのことを、成人病の病原体であるかのように信じてしまうのです。
しかし、もちろんコレステロールは病原体のようなものではないし、それが直接、成人病を引きおこすわけでもないのです。
それどころか、コレステロールは体にとって必要不可欠な物質なのです。
これがなければ、私たちは健康な肉体を維持することができないのです。
たとえば、皮膚の細胞は約4週間で代謝回転するように、細胞は常に新しいものに作り替えられていますから、その材料となるものをいつも用意しておかなければならない。
それを私たちは食べ物から摂取したり、体内で作り出したりしているのです。
脂質の一種であるコレステロールも、細胞を作るときに必要な材料の一つなのです。
すべての細胞は細胞膜に包まれています。
その細胞膜を作る成分として、コレステロールはきわめて重要な存在なのです。
この材料が不足していると、新しい細胞を正しく作ることができなくなってしまうのです。
コレステロール不足がガンを招きやすいといわれるのもそのためで、細胞膜が弱いと、その部分がガン化しやすいわけです。
また、皮膚にあるコレステロールは紫外線を浴びるとビタミンDの前駆体になります。
ビタミンDは、とくにカルシウムの吸収に必要とされる物質です。
したがって、コレステロールか少ない人はビタミンDが不足し、
その結果、カルシウムの吸収が不十分になって骨が弱くなってしまう恐れがあるのです。
さらにいえば、女性ホルモンや男性ホルモンは、ストレスを受けたときに副腎皮質から分泌されます。
抗ストレスホルモンなども、コレステロールがなければ作ることができないのです。
それだけ重要な役割を担っている物質だから、コレステロールは体内でも作られています。
肝臓で作り出しているコレステロールの量は、私たちが食品から摂取する量の数倍になるでしょう。
こんなに大切な物質が、単に「成人病の原因」としか思われていないとしたら、まったく困ったことなのです。
また、患者にそういう偏った情報しか与えない医者は無責任としかいいようがないのです。
関連参照:
コレステロールを善玉・悪玉に分けることの危険性
酵素丸わかり
素晴らしき発酵食
和食の知識
中高年からの筋肉作り
転ばぬように、歩き続ける方法
つまらんことでしょうか
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