しかし最近、ほかの細胞と同様に、新しい細胞に入れ替わりながら増えつづけていることがわかったのです。
物忘れは年齢とともに進みますか、これは、細胞が失われていくためではなく、細胞と細胞とをつなぐネットワークが切断されるために起こります。
誰もがなりたくない痴呆症には、「脳血管性」と「アルツハイマー性」の二種類があります。
脳血管性痴呆症は、細い脳血管の一部が、血栓という血の固まりなどで詰まってしまって酸素や栄養素がその先に届かず、細胞群が死んでしまう状態(壊死)になって起こります。
血管や血液中にコレステロール、中性脂肪が多くなった肥満の人ほど、発症する危険性が高くなります。
血栓は、脳の側頭葉にある海馬というエリアに詰まりやすいのですが、この海馬は、記憶や言語を司る領域のため、いわゆるボケ症状がでるのです。
一方のアルツハイマー性痴呆症は、60歳以下の若い世代にもみられます。
脳細胞の突発的な変性によって脳全体の機能が損なわれてしまうため、重い症状が突然現われるもので、現状では回復困難といわれています。
しかし、痴呆症の多くは脳血管性痴呆症です。
これは、生活習慣病に関連するので予防できますし、たとえ痴呆症がでたとしても、症状を軽くすることが可能です。
脳の領域と全身の運動とを対比した研究によれば、大きな動作を伴う運動が脳細胞を大きく刺激するのではなく、指先を細かく使う精密な手仕事が、脳の活動、とりわけ言語や記憶などの知的な活動を司る海馬エリアと関係の深いことが判明しました。
「ピアニストや絵描きはボケない」といわれるのは、こうした裏付けがあったのです。
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