筋肉中には、ブドウ糖とブドウ糖がいくつも枝分かれをして結びついた、グリコーゲンと呼ばれる貯蔵型の糖が多く存在しています。
糖が血液中と肝臓に蓄えられていることはよく知られていますが、体の中で糖をいちばん多く蓄えているのは筋肉中です。
私たちは、主にブドウ糖を中心としたエネルギー源を燃やすことで、生命を維持し活動をしています。
筋肉もまた、エネルギー源を燃やすことで動いているわけですが、筋肉は、その部分に蓄えられたグリコーゲンでしか動かすことができません。
たとえば腹筋運動を何十回か行った場合、もうこれ以上続けることはできないと思っても、背筋運動であれば、一息ついた後からなんなく始めることができます。
もしも、体中の筋肉に蓄えられているグリコーゲンをすべて腹筋のエネルギーとして使うことができたとしたら、全身が動かなくなるまで腹筋運動を続けることができるはずです。
そして、腹筋運動にすべてのエネルギーを使うことができたら、もうこれ以上は続けられないと思った時点で、他の筋肉も動かすことができなくなるはずです。
繰り返しになりますが、筋肉がエネルギー源にできるのは、その筋肉に貯蔵してあるグリコーゲンです。
そのため、特定の筋肉だけをずっと動かし続けることは不可能なのです。
一方、特定の部位を集中的に使う人は、その部分が発達しています。
筋肉が発達するということは、エネルギーの貯蔵タンクが大きくなるということであり、大きくなったタンクには、以前よりも多くのグリコーゲンが蓄えられることになります。
よって筋肉中に蓄えられるグリコーゲンの量が増えれば、増えた分だけ、その筋肉を動かせるようになります。
つまり、筋肉は、使うことでタンクを大きくし、タンクを大きくすることでより多くのグリコーゲンを蓄えるというように、バンプアップを繰り返すことによって発達しているのです。
適切なウェイト・トレーニングをしていれば、
「使う→壊す→治る→エネルギータンクが大きくなる」
というサイクルによって、自分のイメージ通りに筋肉を発達させることができるわけです。
逆に、動かすことのない筋肉というのは、エネルギーを蓄えておく必要がありません。
エネルギーが少なければ、たまにその筋肉を動かしたとしても、短時間しか動かすことができなくなります。
タンクを大きくしていくときと逆の流れ、負のスパイラルに陥るわけです。
好ましい例ではありませんが、最近、筋力のない子供が多いように思います。
正しい姿勢で立っていることができず、すぐにしゃがみ込んでしまったり、立ち居振る舞いも美しくありません。
筋力のメカニズムを知ることで、負に陥っているスパイラルに歯止めをかけ、適切な筋力を維持できるようになってきます。
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