2015年4月25日土曜日

スーパー和食-3。ごはん食



昭和50年型の食事「スーパー和食」は、従来の和食から進化を遂げたものです。

しかし、ごはんがメインであることに変わりはありません。


日本の米の消費量は、ここ50年間、ずっと減り続けています。

1960年には、―人年間約115キロもの米を食べていたのに対し、2004年には、約61キロと、半分近くにまで減っています。

ちなみに、
―回の食事で食べるごはんの量も、

・60年は160グラム、
・75年は120グラム、
・90年は100グラム、
・05年には80グラム

と減少を続けている。


昔と今では、茶碗の大きさもまったく違う。1960年頃は、どんぶりのような大きな茶碗に山盛りの白飯を食べていました。おかずはごはんが進むような、漬物や塩辛い焼きザケなど、量が少なく、味の濃いものが好まれていました。

ごはんだけでかなりお腹が膨れるため、ほかのおかずが食べられず、栄養バランスが偏っていたのです。時代が下るにつれ、ごはんの量が減り、おかずが増えていきました。

それにより、確かに栄養はよくなり、食材も豊かになったのです。しかし、今は、あまりにも米を食べなすぎます。

このことが、健康面での食事の質を落としている
 
日本の稲作の歴史は、縄文時代末期にまでさかのぼることができる。日本は古来、「瑞穂の国」と言われてきた。瑞穂とは、みずみずしい稲穂のことだ。

今でも、新潟、秋田などの米どころでは、見渡す限り水田の、美しい風景が広がっている。
四季とともに姿を変える田んぼは、多くの日本人の原風景だ。日本の歴史は、稲作とともにあったといっても過言ではありません。
 
「日本人は米を主食にする民族である」

そんな常識が、今崩れようとしているのです。

2011年には、家庭でのパンの購入額が、初めて米を上回ったという調査結果が出ました。(総務省「家計調査」)。

なぜ、日本人はごはんを食べなくなってしまったのでしょうか?


それには、2つの原因が考えられます。

まず一つは、食べ物の種類が増えたことです。
パン以外にも、パスタ、ラーメンなど、今の日本には、ごはん以外にも、豊富な選択肢があるのです。主食がご飯だけだったなのは、遠い時代の話のことです。
 
二つ目は、米は調理に手間がかかることです。
例えば、パンはそのまま、もしくは焼くだけで食べられます。

後片付けもほとんどいらない。一方、米は、量を計ったり、研いだり、炊いたりと、準備に手間がかかります。また食後は、炊飯器やしゃもじ、箸などを洗わなければならない。

さらには、「ごはんは太る」というイメージもあります。特に若い女性の間では、さまざまなダイエットの流行もあり、米食を避ける傾向が強いのです。

しかし、ごはん中心の食生活が、カロリー的にはパン中心の食生活よりも低いことは、あまり知られていません。

ごはんとパンの100グラムあたりのカロリーを比べると、ごはんが168キロカロリーに対し、食パンは264キロカロリー。バターをたっぷりと使ったクロワッサンでは、448キロカロリーにも上るのです。

脂質や塩分も、ごはんよりパンがずっと多い。これは、調理法の違いによるところが大きいのです。

ご飯は水分を加えて炊くだけだが、食パンやクロワッサンは、小麦粉にバターやマーガリン、ショートニング、塩、砂糖などを混ぜて作られています。その分、脂質や塩分が高くなってしまうのです。

カロリーや脂質が少ないこと以外にも、ごはんの利点はあります。
パンや麺類などは、穀物を粉状にした小麦粉や、強力粉、そば粉などから作られていますが、ごはんは、お米の「粒」をそのまま食べる食品なのです。

そのため、パンや麺類に比べると、消化に時間がかかるのです。腹持ちがよく、血糖値の上昇が緩やかになるため、パンや麺類よりも、太りにくいのです。

しかし、それらよりもさらに、血糖値の上昇を緩やかにしてくれる食材がある。未精製の米、つまり玄米だ。だからと言って、パンはダメ、玄米にしなさいということではありません。

「スーパー和食」では、豊富な食材をバランスよく摂り、偏りをなくすことに、重点があるからなのです。

パンや、麺類は週に3~4回にとどめ、普段はごはんを中心とした和食にすることです。


日本人の体には、そのような食生活が最も適しているのではないでしょうか。


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●出典は東北大学・准教授、都築毅 著
『昭和50年の食事でその腹は引っ込む』講談社+α新書


関連参照:
ビタミン・ミネラル活用事典
老化。焦げ・枯れ・錆びと
シニアからの栄養学
サルコペニア予防  


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