砂糖には依存性があると言われている。
実際、太るとわかっているのに、甘いものがやめられない、仕事で疲れがたまると、ついついチョコレートやお菓子などを食べてしまうという人は多い。
ダイエットや健康に関する本では、砂糖こそが諸悪の根源だと言わんばかりだ。
砂糖はイライラやうつといった精神症状、貧血や頭痛、ダルさやめまいなどの身体症状を引き起こす「白い悪魔」であるらしい。
砂糖は中毒性のある恐ろしい食材であり、食べすぎると、「砂糖依存症」になってしまうという。
また、砂糖をたくさん摂る子どもはキレやすく、反社会的行動に走りやすいと、まことしやかに語る専門家もいる。
実は、この「砂糖悪者説」は、最近始まったものではない。
昭和10年代にはすでに、
「酸性食品である砂糖を食べると、体内のカルシウムが溶ける」という研究があった。
昭和50年代には、それが「砂糖の脱カルシウム作用」としてメディアに大きく紹介され、全国的に広まった。
子どものころ、親から「清涼飲料を飲むと歯や骨が溶ける」と言われた人も多いのではないだろうか?
しかし、これは根拠のないデタラメである。
現在の栄養学では、人間の体には血液を中性に保つ働きがあり、食べ物によって、酸性やアルカリ性に傾くことはないことがわかっている。
また、そもそも砂糖は酸性食品ではない。
砂糖は純粋な炭水化物であるため、酸性でもアルカリ性でもないのだ。
つまり、砂糖とカルシウムには、何の因果関係もないのである。
「砂糖は健康によいのか、悪いのか?」という問いかけは、長年、世界の研究者の間でも、議論が重ねられてきたのである。
近年、日本では、「悪い派」が猛威をふるっているが、世界的には、もうとっくに結論が出ている。
1997年4月、WHO(世界保健機関)とFAO(国連食糧農業機関)は、
「砂糖の摂取か行動過多(イライラして、暴力的になったり、落ち着きがなくなったりすること)を引き起こす」「肥満を促進する」といった説を否定し、「砂糖は安全な食品である」と宣言したのである。
砂糖は、「白い悪魔」ではないのである。
しょうゆ、みりん、酢などと同じ、数ある調味料のひとつにすぎないのだ。
毎日しょうゆを使っていても、「しょうゆ依存症」とは言わない。
いくら味噌が体にいいと言っても、食べすぎれば塩分過剰になってしまう。
砂糖もしょうゆも味噌も、適量ならまったく問題はないのである。
0 件のコメント:
コメントを投稿