発酵食品は、日本の食卓に欠かせないものです。
しょうゆ、味噌、みりんなどの調味料をはじめ、納豆、塩辛、漬物など、日本では、数々の発酵食品が食べられてきました。
最近でも、塩麹や酒かすがブームになるなど、日本占来の発酵食品の健康効果が見直されているのです。
発酵食品の良さを挙げると、
・栄養価が高い。
発酵の過程で、新しい栄養成分が生まれるためだ。例えば、納豆に含まれる酵素の一種、「ナットウキナーゼ」は、血栓溶解作用があり、血液をサラサラにすることで知られています。
・消化がよい。
発酵食品は、酵母や徹生物の働きにより、ある程度消化されているため、体内で容易に消化吸収できます。
・腸内環境を整える。
発酵食品には、多くの善玉菌が含まれています。特に、ぬか漬けや味噌、ヨーグルトに多い乳酸菌は、腸内の腐敗物質の増加を抑える働きがあります。
発酵食品を使った料理の中でも、日本人に最も親しまれているのは、味噌を使った味噌汁です。
日本には、全国各地にさまざまなご当地味噌があります。愛知県の八丁味噌や、四国・九州地方の麦味噌、長野県の信州味噌など、一口に味噌といっても、見た目も味も千差万別です。
進学や就職などで他県に引っ越しても、味噌だけは地元のものを使っているという人も多いのではないでしょうか。
また、味噌に含まれる必須アミノ酸の一種、「メチオニン」には、イライラなどを鎮める癒やしの効果があると言われています。味噌汁を飲むとほっとするのはこのためです。
「味噌汁は塩分が気になるため、飲むのを控えている」という人も多い。
全国味噌工業協同組合連合会が実施した調査によると、
9割以上の人が、「味噌汁が好き」と答えているにもかかわらず、味噌汁摂取頻度は、1日平均0.8杯。約4割の人が、「味噌汁はたまにしか飲まない」と答えています。
厚生労働省も、塩分の取りすぎは、胃がんや高血圧の原因になると、国を挙げて「減塩」を推奨しています。
若者の和食離れと、中高年の減塩志向を受けて、味噌の消費量は年々減少し続けています。1975年には、1世帯あたり約14キロだった味噌の消費量は、2011年には、半分の約7キロにまで減りました。
実は、味噌と血圧の因果関係は、これまで明らかにされていなかった。確かに、味噌には多量の塩分が含まれています。塩は、血圧の大敵だ。
しかし、味噌には、塩分以外にも麹菌や乳酸菌をはじめ、さまざまな微生物や成分が含まれている。
味噌は江戸時代から「医者殺し」と呼ばれ、高い健康効果かおることが経験的に知られていたのです。
味噌は間違いなく体によいのです。しかし、あまりに複雑な食品であり、専門の研究者も少ないため、その効果を科学的に証明することは非常に困難だったのだ。
「味噌=高血圧」説がようやく覆されたのは、ごく最近、2013年のことだ。
日本高血圧学会が、「味噌汁の塩分は血圧に影響しない」という研究成果が発表したのである。
東京都内の病院で、人間ドックを受診した百数名に聞き取り調査を行ったところ、味噌汁をふだんから飲む人と飲まない人で、血圧にほとんど差はなかった。
さらに、毎日味噌汁を飲む人は、週にI~2回しか飲まない人に比べ、動脈の硬さを表す血管年齢(CAVI値)が若く、血管が柔軟であることがわかったのです。
味噌汁は高血圧の原因にならないばかりか、血管を若く保ち、動脈硬化を防ぐ作用もあるのだ。
味噌にはその他にも、がんをはじめとした生活習慣病、骨組しょう症、認知症などのリスクを下げる効果が認められています。
日本人の健康長寿は、味噌汁によって支えられていると言っても過言ではありません。
東北大学・都築准教授は、もっと味噌汁を飲むことをお勧めしています。
「最低でも、1日1杯。できれば、2杯飲んでいただきたい」と。
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●出典は東北大学・准教授、都築毅 著
『昭和50年の食事でその腹は引っ込む』講談社+α新書
関連参照:
スーパー和食。調査方法
スーパー和食-3
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ビタミン・ミネラル活用事典
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シニアからの栄養学
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