カツオ節、コンブ、干ししいだけ、煮干しなど、種類は何でもいい。味噌汁や煮物など、顆粒の化学調味料ではなく、面倒でも本物の食材から出汁を取ったものを使う。
香りとうまみで料理を引き立てる出汁は、日本特有の食文化である。
フランス料理や中華料理で、スープやソースを作るときは、牛や豚などのガラと、たまねぎやセロリなどの香味野菜、スパイスなどを数時間煮込み、トロトロになったものを使う。
日本の出汁は、コンブでもカツオ節でも、1~2分でサッと取る。日本の出汁は、味よりも「香り」を出すためのものなのだ。
確かに、コンブにはイノシン酸、干ししいたけにはグアニル酸が多く含まれ、味もおいしくなる。
しかし、それ以上に重要なのは、「香り」である。
例えば、野菜を煮て、味噌を溶いただけではおいしい味噌汁とは言えないだろう。
お吸い物や茶碗蒸しも、しょうゆやみりんなどの調味料だけでは物足りない。
出汁の香りがあって、初めて和食は成立するのである。
また、出汁には減塩を助ける効果もある。食べるときに、出汁の香りが鼻から抜けることによって、塩分が少なくても、味が付いているように感じられるのだ。
今まで穎粒の化学調味料しか使ったことがないという人は、手間がかかるが、ぜひ一度出汁を取って味噌汁を作ってみてほしい。
お勧めは、コンブとカツオ節の一番出汁だ。
まず、コンブと水を鍋に入れて、中火で加熱する。沸騰直前でコンブを取り出し、カツオ節を加える。沸騰したらすぐに火を止め、アクを取って30秒置く。そして、布巾やキッチンペーパーなどを敷いたザルでこせば完成だ。
その後、豆腐、ワカメなど、好みの具を入れ、煮えたら、いったん火を止めて味噌を溶かす。
出汁の豊かな香りと上品なうまみに、きっと驚くはずだ。
1960年代までの和食は、塩分が多いことが弱点だった。出汁をうまく使えば、それを克服できる。
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●出典は東北大学・准教授、都築毅 著
『昭和50年の食事でその腹は引っ込む』講談社+α新書
関連参照:
スーパー和食。調査方法
スーパー和食-3
素晴らしき発酵食
ビタミン・ミネラル活用事典
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