2015年6月4日木曜日

使わないと退化する!

いま、日本では究極のカロリー制限ダイエットとして、
断食」が流行っています。

消化器官を休ませることで、代謝がリセットされる、腸がきれいになる、デトックス効果があるなど、断食をうたったホテルのプランや、専門の道場なども多いのです。
 
代謝とは、栄養素をエネルギーに換え、消費することだ。

日々の生活の中で、私たちの体は、どうしても代謝しきれない、余分なものが溜まってゆく。

断食にデトックス効果があるいは、それをエネルギーとして使うからである。

しかし、さらに断食を続けると、体は筋肉や骨を壊してエネルギーを確保するしかなくなってしまう。

断食によって飢餓状態になった体は、命を守るために、脂肪だけでなく、他の部分まで利用してしまうのである。

そうなると、断食後のリバウンドや、体へのダメージが非常に大きくなる。
 
断食がどこまで体によく、どこから体を壊してしまうのか、個人差があるため、見極めるのは難しい。

断食では、絶食後初めての食事が、最も危険だと言われている。

お腹が空いたからといって、一気にごはんを食べると、最悪の場合、体がショックを起こして心臓麻痺などを起こす可能性さえある。そのため、断食道場やセミナーでは、重湯から七分粥、具のない味噌汁と、ゆっくりと元に戻してゆく。
 
だから断食は素人が安易に手を出すべきではないのです。
 
刑務所に入っていた人は、出所後、久しぶりにステーキを食べると腹を壊すという。
それは質素な食事に体が慣れ、ステーキなど脂っこい物を消化する働きが退化してしまったこと
が原因だ。
 
体の機能はすべて、使わなければ退化する。例えば、健康な人でも、骨折などで1ヵ月も使わなければ、筋肉が落ちてしまうのだ。

 
筋肉と違い、内臓は目に見えない。しかし内臓も使わなければ、確実に衰えてゆくのだ。
 
食べ物の消化と吸収は、胃や小腸、大腸にかけて行われている。これをまとめて吸収機構と呼ばれている。
 
吸収機構には、非常に細かい役割分担がある。例えば、アルコールは胃からすぐ吸収が始まるが、水分やミネラルを体内に取り込むのは大腸の役目だ。

炭水化物は小腸で吸収され、吸収された後、炭水化物とタンパク質は、すべて肝臓へ回され、そこでエネルギーに換えられる。一方、脂質は全身を回った後、肝臓に集められる。
 
食べ物によって、取り込まれる場所や方法が異なるのである。
 
炭水化物の吸収機構は、炭水化物にしか働かない。炭水化物の消化を、脂質の機構が担うことはできないのだ。

また同じ炭水化物でも、ごはん由来の糖と、パン由来の糖では、機構が異なる。これはほかの栄養素でもそうだ。

タンパク質でも肉と魚では違うし、脂質でもマヨネーズなどに含まれる卵の黄身の油とサラダ油では異なる。
 
同じ機構だけが使われると、負荷が溜まり、ストレスになる。逆に、使われない機構は退化してゆく。
 
吸収機構の働きは、よくトレーニングに例えられる。例えば、100キロカロリーを消費しようと思った場合、ダンベル体操などの筋トレとジョギングなどの全身運動の、どちらが効率的だろうか?

たしかに、腕の筋肉はダンベル体操のほうが発達するだろう。

しかし、筋トレだけで100キロカロリーを消費するのは、かなり大変だ。
ジョギングのほうが、ずっと効率的にカロリーを消費することができる。

もし、他の運動は一切せず、ダンベル体操だけを続けたら、脚やお腹の筋肉は退化してしまうだろう。

その点、体全体の筋肉をまんべんなく鍛えることのできるジョギングは優れているといえる。

全体を使ったほうがいいのは、吸収機構も同じだ。
ある栄養分だけを摂り続けると、一つの機構が酷使され、ストレスが溜まってゆく。

一方、使われない機構は退化してしまうのだ。
食事の品目をなるべく増やしたほうがいいのは、このためである。



関連参照:
シニアからの栄養学
中高年からの筋肉作り  
サルコペニア予防  
サプリメントとの付き合い方
老化。焦げ・枯れ・錆びと
つまらんことでしょうか


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