2015年4月29日水曜日

股関節が痛む


もしも近ごろ体重が増えたなら、まず減量が第一です。

特に女性の場合、もともと股関節(大腿骨頭を受け止める骨盤のへこみ)が浅い方は、増えた体重を支えにくいので股関節に重い負担となり、痛みを生じることがあります。


先天性股関節脱臼症までいかなくても、こうした傾向のある方は加齢や体重の増加に伴い、関節への負担は増すものです。
 
減量しても痛みがなくならず、受診の結果、関節の摩耗が著しいようなときは、手術で人工股関節にする選択肢もあります。

 
急なひどい痛みのときは、整形外科へ至急行かれることをオススメします。

状態に応じてX線撮影の撮り方も考えていただけます。

 
また、まれに骨折ということも考えられますが、このときはもう動けなくなっているでしょう。

太腿の付け根の骨折は背景に骨粗霧症が潜んでいます。
 
よろけて転倒した場合や就寝中にベッドから転落しての骨折などというケースがこれです。

転落直後には動けて、ベッドに戻れたのに、朝になってみたらもう起きられなくなっていた。

そういうときに大腿骨を折っている可能性があります。

 
介護を受けるようになった方に、おむつ骨折の起こることも知られています。

寝たきりの方は関節が拘縮していて、おむつを替えるときの力で、骨が折れてしまうことがあるのです。
 
また、大腿骨頭壊死も考えられます。

原因は分かっていませんが、加齢に伴う血液循環の悪化も考えられる重大疾患です。
 
超高齢者になるとこうしたことが起きている可能性も排除せず、いろんな可能性を考えてみましょう。

乳ガンや肺ガンが進んで、骨転移が起きても股関節の痛む可能性はありますから。



関連参照:
老化。焦げ・枯れ・錆びと
シニアからの栄養学
中高年からの筋肉作り  
サルコペニア予防  


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2015年4月27日月曜日

スーパー和食-4。1日2杯味噌汁

発酵食品は、日本の食卓に欠かせないものです。

しょうゆ、味噌、みりんなどの調味料をはじめ、納豆、塩辛、漬物など、日本では、数々の発酵食品が食べられてきました。
 
最近でも、塩麹や酒かすがブームになるなど、日本占来の発酵食品の健康効果が見直されているのです。


発酵食品の良さを挙げると、

栄養価が高い。
発酵の過程で、新しい栄養成分が生まれるためだ。例えば、納豆に含まれる酵素の一種、「ナットウキナーゼ」は、血栓溶解作用があり、血液をサラサラにすることで知られています。

消化がよい。
発酵食品は、酵母や徹生物の働きにより、ある程度消化されているため、体内で容易に消化吸収できます。

腸内環境を整える。
発酵食品には、多くの善玉菌が含まれています。特に、ぬか漬けや味噌、ヨーグルトに多い乳酸菌は、腸内の腐敗物質の増加を抑える働きがあります。
 
発酵食品を使った料理の中でも、日本人に最も親しまれているのは、味噌を使った味噌汁です。
 
日本には、全国各地にさまざまなご当地味噌があります。愛知県の八丁味噌や、四国・九州地方の麦味噌、長野県の信州味噌など、一口に味噌といっても、見た目も味も千差万別です。
 
進学や就職などで他県に引っ越しても、味噌だけは地元のものを使っているという人も多いのではないでしょうか。
 
また、味噌に含まれる必須アミノ酸の一種、「メチオニン」には、イライラなどを鎮める癒やしの効果があると言われています。味噌汁を飲むとほっとするのはこのためです。

「味噌汁は塩分が気になるため、飲むのを控えている」という人も多い。 
全国味噌工業協同組合連合会が実施した調査によると、
9割以上の人が、「味噌汁が好き」と答えているにもかかわらず、味噌汁摂取頻度は、1日平均0.8杯。約4割の人が、「味噌汁はたまにしか飲まない」と答えています。

厚生労働省も、塩分の取りすぎは、胃がんや高血圧の原因になると、国を挙げて「減塩」を推奨しています。

若者の和食離れと、中高年の減塩志向を受けて、味噌の消費量は年々減少し続けています。1975年には、1世帯あたり約14キロだった味噌の消費量は、2011年には、半分の約7キロにまで減りました。
 
実は、味噌と血圧の因果関係は、これまで明らかにされていなかった。確かに、味噌には多量の塩分が含まれています。塩は、血圧の大敵だ。

しかし、味噌には、塩分以外にも麹菌や乳酸菌をはじめ、さまざまな微生物や成分が含まれている。
 
味噌は江戸時代から「医者殺し」と呼ばれ、高い健康効果かおることが経験的に知られていたのです。

味噌は間違いなく体によいのです。しかし、あまりに複雑な食品であり、専門の研究者も少ないため、その効果を科学的に証明することは非常に困難だったのだ。
 
「味噌=高血圧」説がようやく覆されたのは、ごく最近、2013年のことだ。

日本高血圧学会が、「味噌汁の塩分は血圧に影響しない」という研究成果が発表したのである。
 
東京都内の病院で、人間ドックを受診した百数名に聞き取り調査を行ったところ、味噌汁をふだんから飲む人と飲まない人で、血圧にほとんど差はなかった。
 
さらに、毎日味噌汁を飲む人は、週にI~2回しか飲まない人に比べ、動脈の硬さを表す血管年齢(CAVI値)が若く、血管が柔軟であることがわかったのです。
 
味噌汁は高血圧の原因にならないばかりか、血管を若く保ち、動脈硬化を防ぐ作用もあるのだ。
 
味噌にはその他にも、がんをはじめとした生活習慣病、骨組しょう症、認知症などのリスクを下げる効果が認められています。
 
日本人の健康長寿は、味噌汁によって支えられていると言っても過言ではありません。
 

東北大学・都築准教授は、もっと味噌汁を飲むことをお勧めしています。
「最低でも、1日1杯。できれば、2杯飲んでいただきたい」と。

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●出典は東北大学・准教授、都築毅 著
『昭和50年の食事でその腹は引っ込む』講談社+α新書


関連参照:
スーパー和食。調査方法
スーパー和食-3
素晴らしき発酵食
ビタミン・ミネラル活用事典
老化。焦げ・枯れ・錆びと
シニアからの栄養学
サルコペニア予防  








2015年4月25日土曜日

スーパー和食-3。ごはん食



昭和50年型の食事「スーパー和食」は、従来の和食から進化を遂げたものです。

しかし、ごはんがメインであることに変わりはありません。


日本の米の消費量は、ここ50年間、ずっと減り続けています。

1960年には、―人年間約115キロもの米を食べていたのに対し、2004年には、約61キロと、半分近くにまで減っています。

ちなみに、
―回の食事で食べるごはんの量も、

・60年は160グラム、
・75年は120グラム、
・90年は100グラム、
・05年には80グラム

と減少を続けている。


昔と今では、茶碗の大きさもまったく違う。1960年頃は、どんぶりのような大きな茶碗に山盛りの白飯を食べていました。おかずはごはんが進むような、漬物や塩辛い焼きザケなど、量が少なく、味の濃いものが好まれていました。

ごはんだけでかなりお腹が膨れるため、ほかのおかずが食べられず、栄養バランスが偏っていたのです。時代が下るにつれ、ごはんの量が減り、おかずが増えていきました。

それにより、確かに栄養はよくなり、食材も豊かになったのです。しかし、今は、あまりにも米を食べなすぎます。

このことが、健康面での食事の質を落としている
 
日本の稲作の歴史は、縄文時代末期にまでさかのぼることができる。日本は古来、「瑞穂の国」と言われてきた。瑞穂とは、みずみずしい稲穂のことだ。

今でも、新潟、秋田などの米どころでは、見渡す限り水田の、美しい風景が広がっている。
四季とともに姿を変える田んぼは、多くの日本人の原風景だ。日本の歴史は、稲作とともにあったといっても過言ではありません。
 
「日本人は米を主食にする民族である」

そんな常識が、今崩れようとしているのです。

2011年には、家庭でのパンの購入額が、初めて米を上回ったという調査結果が出ました。(総務省「家計調査」)。

なぜ、日本人はごはんを食べなくなってしまったのでしょうか?


それには、2つの原因が考えられます。

まず一つは、食べ物の種類が増えたことです。
パン以外にも、パスタ、ラーメンなど、今の日本には、ごはん以外にも、豊富な選択肢があるのです。主食がご飯だけだったなのは、遠い時代の話のことです。
 
二つ目は、米は調理に手間がかかることです。
例えば、パンはそのまま、もしくは焼くだけで食べられます。

後片付けもほとんどいらない。一方、米は、量を計ったり、研いだり、炊いたりと、準備に手間がかかります。また食後は、炊飯器やしゃもじ、箸などを洗わなければならない。

さらには、「ごはんは太る」というイメージもあります。特に若い女性の間では、さまざまなダイエットの流行もあり、米食を避ける傾向が強いのです。

しかし、ごはん中心の食生活が、カロリー的にはパン中心の食生活よりも低いことは、あまり知られていません。

ごはんとパンの100グラムあたりのカロリーを比べると、ごはんが168キロカロリーに対し、食パンは264キロカロリー。バターをたっぷりと使ったクロワッサンでは、448キロカロリーにも上るのです。

脂質や塩分も、ごはんよりパンがずっと多い。これは、調理法の違いによるところが大きいのです。

ご飯は水分を加えて炊くだけだが、食パンやクロワッサンは、小麦粉にバターやマーガリン、ショートニング、塩、砂糖などを混ぜて作られています。その分、脂質や塩分が高くなってしまうのです。

カロリーや脂質が少ないこと以外にも、ごはんの利点はあります。
パンや麺類などは、穀物を粉状にした小麦粉や、強力粉、そば粉などから作られていますが、ごはんは、お米の「粒」をそのまま食べる食品なのです。

そのため、パンや麺類に比べると、消化に時間がかかるのです。腹持ちがよく、血糖値の上昇が緩やかになるため、パンや麺類よりも、太りにくいのです。

しかし、それらよりもさらに、血糖値の上昇を緩やかにしてくれる食材がある。未精製の米、つまり玄米だ。だからと言って、パンはダメ、玄米にしなさいということではありません。

「スーパー和食」では、豊富な食材をバランスよく摂り、偏りをなくすことに、重点があるからなのです。

パンや、麺類は週に3~4回にとどめ、普段はごはんを中心とした和食にすることです。


日本人の体には、そのような食生活が最も適しているのではないでしょうか。


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●出典は東北大学・准教授、都築毅 著
『昭和50年の食事でその腹は引っ込む』講談社+α新書


関連参照:
ビタミン・ミネラル活用事典
老化。焦げ・枯れ・錆びと
シニアからの栄養学
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2015年4月24日金曜日

昭和50年の「和食」。調査の方法など

東北大学の研究チームの行った実験について、少しくわしく説明しましよう。
 
厚生労働省は1952年から毎年、約1万軒の家庭を対象に、食品に関するアンケートを行っています。

どのような食品を食べているのかを、詳しく聞き取ったものです。


そのデータを元に、

  • 60年
  • 75年
  • 90年
  • 2005年(現代)と、

それぞれ1週間、21食分の献立のレシピを管理栄養士と作り、実際に調理しました。 

05年のメニューの一例は、朝食はトースト、クラムチャウダー、リンゴ。昼はうな井と付け合わせ。晩ごはんは豚のしょうが焼きなどだ。
 
90年は、05年のメニューとほとんど変わらない。
 
75年になると、どこか懐かしいメニューが並ぶ。牛、豚などの肉類が減って、海藻や野菜が増え、肉じゃがやおひたし、酢の物など、現代に比べ、和食らしいおかずが増える。

一方で、75年はオムレツやシチューなど、洋風の料理も食べていた。和洋を問わず、さまざまな
品目をまんべんなく食べていたのが特徴です。
 
60年は、おかずが少なく、ごほんの量が多い。全体的にいろどりが少なく、地味で味気ない印象です。
 
4つの年のメニューをそれぞれ混ぜ、粉砕し、乾燥させたものを、1ヵ月齢のマウスに8ヵ月間食べて、もらいました。

9ヵ月齢は、人間の40歳ぐらいに当たる。
その結果、最もはっきりした違いが見られたのは、内臓脂肪の量だった。

75年が一番少なく、現代が一番多かったのだ。
また、脂肪の量だけでなく、質にも大きな違いが見られた。内臓脂肪の組織を顕微鏡で見ると、現代に比べて、75年は細胞自体も小さかったのだ。

内臓脂肪からは、血圧や血糖値を上げる悪いホルモンが放出される。脂肪細胞が、大きくなればなるほど、体にさまざまな悪影響を与える。肥満、糖尿病、高血圧、高コレステロールなどの原因になるのだ。
 
内臓脂肪が小さくなれば、スリムになるだけでなく、生活習慣病の発症も抑えられる。
つまり、1975年の食事は、健康にもダイエットにも効果的であることがわかったのだ。

その健康効果は、遺伝子レベルでも確認できた。
 
DNAマイクロアレイ(遺伝子の発現量の計測手法)でマウスの遺伝子を調べたところ、現代食に比べて、昭和50年の食事はストレス性が低く、糖質や脂質の代謝が活発になることが明らかになった。
 
特にUCP2という、熱の生産を促し、体のエネルギーを燃やす遺伝子が、多く発現していた。
これは代謝をよくする遺伝子である。そのスイッチがオンになるのだ。
 
UCP2は、75年は05年の2倍以上も発現した。75年の食事が最も肥満になりにくく、健康有益性が高いということを表している。


●出典は東北大学・准教授、都築毅 著
『昭和50年の食事でその腹は引っ込む』講談社+α新書


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ビタミン・ミネラル活用事典
老化。焦げ・枯れ・錆びと
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2015年4月20日月曜日

スーパー和食-2。昭和50年の「和食」

「スーパー和食」を知る

東北大学の研究チームは、厚生労働省の資料をもとに、昭和35年(1960年)から平成17年(2005年)までの日本人の食事を、年によって比較する実験を行いました。

そして、最も健康効果が高く、老化を遅らせ、長い寿命をもたらすのは、昭和50年の「和食」である、という結論を得たのです。

しかもそれは、肥満を一番抑えることもわかりました。
 
ここでいう「和食」とは、料亭や日本料理で供されるハレの食事ではなく、我々日本人が、普段食べている食事のことです。
 
昭相50年の食事は、ほかの年と比べて、突出してすぐれていたのでした。

その結果は、東北大学の研究チームに大きな興奮をもたらしたほどです。


それらはすべて遺伝子レベルでも確認できた、といいます。

代謝をよくする遺伝子や、老化を抑制する遺伝子が飛びぬけて多く発現するのです。
 
その結果、いろんなことがわかってきました。
たとえば、この「スーパー和食」をとっていれば、

無理なく10キロ落とせる
・出た腹は1ヶ月で引っ込む
シミ、シワ、肌の老化をストップ
・寿命が100歳になる。
ガンの発症が4分の1になる
・糖尿病のリスクが5分の1になる
認知症のリスクが4分の1になる


など「スーパー和食」のさまざまな優れた点を上げています。

左のグラフは、昭和50年、1975年当時の一般的な日本人の食事、1週間のメニューです。




ごく普通で、いまほど欧米化していないことも気づくと思います。


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●出典は東北大学・准教授、都築毅 著
『昭和50年の食事でその腹は引っ込む』講談社+α新書


関連参照:
スーパー和食。調査方法
素晴らしき発酵食
ビタミン・ミネラル活用事典
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2015年4月19日日曜日

スーパー和食-1。昭和50年の「和食」

スーパー和食

日本人が、最も理想的な食事、「スーパー和食」を食べていた昭和50年(1975年)、日本人はどのような暮らしを送っていたのでしょうか?

東北大学の研究チームは、厚生労働省の資料をもとに、昭和35年(1960年)から平成17年(2005年)までの日本人の食事を、年によって比較する実験を行いました。





最も健康効果が高く、老化を遅らせ、長い寿命をもたらすのは

昭和50年の「和食」であるという結論を得たのだった。



のグラフを参照。(昭和50年=1975年)ごく普通の日本の家庭で食べていた食事ではないだろうか?

しかもそれは、肥満を一番抑えることもわかった。

ここでいう「和食」とは、料亭や日本料理で供されるハレの食事ではなく、我々日本人が、普段食べている食事のことです。
 
昭相50年の食事は、ほかの年と比べて、突出して優れていたのでした。

そして、そのすべて遺伝子レベルでも確認できたのです。

代謝をよくする遺伝子や、老化を抑制する遺伝子が飛びぬけて多く発現することもわかりました。
 

そして、その昭和50年型の食事こそは、戦後日本の頂点であり、東北大学の研究チームはこれを「スーパー和食」と名付けたのです。

このコラムでは何回かにわたってその成果を紹介する。今回はその1回目です。

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●出典は東北大学・准教授、都築毅 著
『昭和50年の食事でその腹は引っ込む』講談社+α新書


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ビタミン・ミネラル活用事典
老化。焦げ・枯れ・錆びと
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2015年4月18日土曜日

2025年問題を考えると 

第2次世界大戦の後の1947~49年に生まれた、いわゆる「団塊の世代」。この3年間で806万人が生まれたのです。

この世代は日本経済の成長を支えた世代でもあるのですが、この世代が全員、75歳になるのが2025年なのです。

ちなみに人口全体に占める割合は、今年2015年には13%、これが2025年18.1%にまで増える。

2025年、およそ5人に1人が75歳、という時代に日本はなるのです。


その後は、高齢者の数は高止まりしますが、子供や20~64歳の現役世代がどんどん減って行くのだ。

健康に年をとっていけばいいのですが、足腰が弱くなったりしてくる人もいます。

日常生活で介護を必要とする人も増えてきます。すると医療費が増えてきます。

国の試算では15年度から25年度にかけて、医療にかかる費用は全体で1.4倍、介護費用は1.9倍ぐらいまで増える、と予想されています。

この負担はお年寄り自身の負担や保険料など社会全体で支える仕組みになっていますが、少子化で制度の主な担い手である現役世代が減っているのも問題です。

また、医療や介護に携わる人が不足していることも問題です。

こうしたさまざまな問題を2025年問題として日本は抱えているのです。



関連参照:
シニアからの栄養学
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2015年4月15日水曜日

日本人の食事摂取基準

日本人の食事摂取基準が見直され、この4月からスタートしました

「日本人の食事摂取基準」とは国民の健康維持・増進のために1日当たりのエネルギーと33の栄養素についてその摂取量の目安を定めたガイドラインです。

一応5年ごとに見直されることになっています。


その改訂版が発表されました。


  • それによりますと、日本人の摂りすぎが問題となっているのが食塩です。
  • 不足として問題になっているのが食物繊維とカリウムです。


食物繊維とカリウムは、不足すると高血圧、肥満症、糖尿病、心筋梗塞などの病気を招く原因になると言われています。

これらの病気は日本人に多く発症している上、悪化すると命に関わります。

この中で、あまりなじみがないのが、カリウムなのではないでしょうか。カリウムを多く含む食品は、野菜、果物、穀物全般です。

また、カリウムの調理法にも問題点は指摘されています。日本では昔から野菜を漬け物にしてお浸しにして食べるのが多いのですが、これだとカリウムの多くを失ってしまうようです。

カリウムを無駄なく摂るには、野菜なら生で、スープにしたら流出した栄養素も飲むように。

穀物なら胚芽に多く含まれているので玄米などで摂りたいところです。

また、生でたべることの多いくだものなら一番、カリウムの摂取にオススメです。



関連参照:
ビタミン・ミネラル活用事典
老化。焦げ・枯れ・錆びと
シニアからの栄養学
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2015年4月14日火曜日

膝が痛いというとき

椅子から立ち上がるときに痛い、階段を下りるときに膝が痛いというのはよく耳にする症例です。

長年、過体重が続くと、それに膝が耐え切れず、変形性膝関節症になるというのは中高年にありがちなことです。

特に閉経後の女性にリスクが高いのは、ホルモン変動が原因の一つと考えられます。
 
この時期以降の女性には骨粗鬆症も多発します。

骨粗鬆症は骨からカルシウムが溶け出してしまう状態で、閉経前後の十年間で全骨量の約20パーセントもの骨量を女性は失ってしまいます。当然、骨の強度は低下します。

 
歩行時、運動時、特にジョギングなどを長時間行ったときなどに、疲労から足首が土踏まずの側に倒れ込む現象(オーバープロネーション)を放置しても、膝痛は生じます。

これはスポーツ好きの男性にしばしば見られます。その背後にも重い体重が関係していることが考えられます。
 
最近、体重が2~3キログラム増えた方は影響しているかもしれません。

そういう方が本来の体重に戻すと、痛みが軽くなったり、なくなることもあります。まずは食事療法で減量に取り組んでください。

膝が痛むときでも、できる運動があります。椅子に座ったままラジオ体操第一に取り組むと、体の深部の筋肉を鍛えられます。

大腿四頭筋(太腿前の筋肉)を鍛える運動も、椅子に座ったままできます。
座った状態で目視できる位置まで爪先を前方に少し伸ばして接地します。ここから下腿部をゆっくり上げて3秒間静止。そして、ゆっくり下ろします。

太腿を上げないのがコツです。これを左右10回ずつぐらいから始めましょう。

そうすると大腿四頭筋がよく使えます。近所にプールのある方は水中ウォーキングを取り入れるのもいいでしょう。

こうした自助努力を生活の中で試みて、それでもよくならなければ受診してください。
 
中には、過去に負った半月板損傷などの古傷が顔を出しているかもしれませんので。


関連参照:
「加齢」との付き合い方
老化。焦げ・枯れ・錆びと



2015年4月11日土曜日

喉がつかえるようになった!

喉につかえるようになった、呑み込み(嘸下)に手こずるようになると、年をとったなあとしみじみ思うところでしょうか。

食物を口に運び、噛み砕き、気管の入り口(喉頭蓋)を閉じて食道へと流し込む、この一連の動作を意識せず、反射の連続で行えていれば問題ありません。

しかし、これを無意識に行うのが困難ならば、神経障害が考えられます。

この場合、専門の医療機関で原因を突き止めたうえで、その原因に対する処置とともに嘸下訓練を行うことが改善への道筋ですが、長期を要することもありますので、気長に、根気よく取り組んでみてください。
 
特に障害がなければ、口に入れたものをよく噛んでいない可能性もあります。
ちやんと咀嚼しないと、当たり前ですが食べたものが次の段階に進みにくくなります。

大きいまま食べたら喉につかえるのは、高齢者だけの話ではありません。つかえるということを自覚しているなら、まずはゆっくり食べ、よく噛むことから始めてみてください。
 
歯周病などで歯を何本も失っていたり、歯根がぐらぐらになっている人も少なくありません。
こうした口の中の環境を整えることは消化器の負担を軽くし、食べた栄養を効率よく吸収することにつながります。

また、きちんと咀嚼を行うと、その刺激が脳に送り込まれ、認知症の進行を遅らせる効果があることが動物実験でも明らかになっています。歯がなくなったから流動食でいい、とはいえないのです。
 
結果的に健康、そして長寿への第一歩にもなりますから、口腔内の手入れ、清掃はくれぐれも怠らないようにしてください。
 
また、嘸下する際の喉の違和感などから食道ガンや咽頭ガンが見つかることもありますから、喉につかえやすくなった原因を特定しましょう。

極端に熱いものや辛いものを好む方、タバコを吸う方は食道ガン、咽頭ガンのハイリスクグループといえます。


関連参照:
「加齢」との付き合い方
老化。焦げ・枯れ・錆びと



2015年4月8日水曜日

白砂糖より黒砂糖

ダイエットもしたいが、甘いものも食べたいというのは、多くの人に共通する悩みだと思う。
 
そこで、普段使う砂糖を、白砂糖から黒砂糖に替えてみたらいかがでしょうか。

 
・黒砂糖は、サトウキビの搾り汁をそのまま加熱し、濃縮して固めたものだ。

・白砂糖は、この搾り汁から糖分以外の不純物を取り除き、結晶化させたものである。

 
白砂糖も黒砂糖も、主成分は同じショ糖である。
ショ糖とは、果糖とブドウ糖の2つが結合した物質だ。ショ糖は成分が2つしかないため、消化吸収が容易で血糖値を上げやすい
 
最も精製炭が高いグラニュー糖では、成分の99・9パーセントがショ糖だ。そのため、雑味がなく、甘さをストレートに感じることができる。

ケーキやクッキーなど、洋菓子に使われるのは、ほとんどがグラニュー糖だ。
 
白砂糖は、ショ糖が約97・8パーセント。それに対し、黒砂糖は、約80パーセント。2割近くが、ショ糖以外の不純物なのだ。

不純物というと、一般的には悪いイメージがある。
しかし、不純物が多いからこそ、黒砂糖は体にいいのだ。
 
サトウキビの搾り汁の中に含まれる不純物の正体は、マグネシウム、鉄などのミネラルや、ビタミンなどの栄養素なのである。黒砂糖のカルシウムは、白砂糖の240倍、カリウムは550倍も多いのである。
 
また、黒砂糖は白砂糖と比べ、複雑な甘みがある。産地によっては、ほろ苦さや、渋みを感じることもある。
 
黒砂糖独特の味わいを生み出しているのが、これらの栄養成分=不純物なのである。
 
黒砂糖では、ショ糖以外の成分が、砂糖の分解、吸収を邪魔するため、白砂糖に比べて、血糖値が上がりにくい。
 
白砂糖が血糖値を30上げるとしたら、黒砂糖は10以下。つまり、同じ甘さでも、黒砂糖のほうが、内臓脂肪の要因になりにくいのだ。
 
紅茶やコーヒーに入れる砂糖を、黒砂糖に替えるだけでも、血糖値の上昇を緩やかにすることができる。
 
また、料理に使用すると、黒砂糖独特の風味がプラスされて、味にコクが出る。特に肉じゃがや筑前煮、煮魚など、こってりした味に仕上げたい煮物に最適なのだ。
 
料理に使う際のポイントは、味見しながら量を調節すること。

黒砂糖は白砂糖よりも甘さを強く感じるため、普段と同じ感覚で使うと、甘くなりすぎてしまう。

煮物などに使う場合は、白砂糖の約半分で十分なのだ、と思っておこう。


関連参照:
老化。焦げ・枯れ・錆びと
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2015年4月5日日曜日

情緒の安定を保つ食品。砂糖

砂糖には、健康に役立つ効果がたくさんある。

まず、脳への栄養補給だ。
 
頭を使ったり、運動や肉体労働などで体力を消耗したりすると、肝臓に蓄積されていたエネルギー(グリコーゲン)が底をつき、血液中に糖分を補給できなくなる。
 
そのため、血糖値が低下し、「疲れ」を感じてしまうのである。
 
特に、脳はブドウ糖だけをエネルギーとしているため、血糖の不足は思考力、集中力の低下につながるのです。

ごはんやイモ類など、甘いもの以外の炭水化物でも、糖の補給は可能だが、それらの食品は、体内でエネルギーに変換されるまでに長い時間がかかるのだ。

一方、砂糖は数分で血液中に届き、血糖値を回復させる。

また砂糖にはストレスの影響を弱める作用もある。ストレスを感じると、脳内にストレストレスタンパク質が発現する。

砂糖を摂取すると、このストレスタンパク質の発現が和らぐのだ。

疲れたとき、甘いものを食べるとほっとするのはこのためだ。
 
だから、情緒を安定させるためにも、糖分は欠かせない。

 
喜怒哀楽などの感情は、脳で分泌される、ドーパミンとセロトニンという神経伝達物質によって司られている。

ドーパミンは脳を覚醒させ、集中力を高める作用、セロトニンは脳をリラックスさせる作用がある。
 
ドーパミンとセロトニンは、車で例えるならば、アクセルとブレーキのようなものだ。

どちらかが多すぎたり、少なすぎたりすると、うまく働かない。
集中とリラックス、緊張と弛緩、両方をバランスよく保つことが大切である。
 
ドーパミンの主な原料となるのは、タンパク質から作られるアミノ酸だ。よく、受験生は試験の前に、ゲン担ぎとしてカッ丼を食べるが、豚肉の中に含まれるアミノ酸が集中力をアップさせるため、理にかなった「勝負メシ」と言える。
 
しかし、ドーパミンが多すぎると、感情を制御できなくなってしまう。カッとしやすく、攻撃的になったり、何気ないことで、苛立ちや緊張を感じたりする。
 
情緒の安定を保つには、興奮にブレーキをかけるセロトニンが不可欠だ。
ブドウ糖には、脳内にセロトニンの分泌を促す効果がある。

砂糖はかって精神安定剤としても利用されていた歴史があり、その効果は科学的にも証明
されている。

砂糖は、決して悪者ではない。

食事の中でうまく取り入れれば、心と体の健康に大きく役立つのだ。

巷のダイエットには、砂糖を極力控えるものが多い。中には、「砂糖、お菓子類は一切禁
止」というものもある。

しかし、先ほど述べたように、甘いものを食べたくなるのは、体の自然な欲求だ。多くのダイエットが難しい理由の一つに、本能を押さえつける、この厳しいルールがある。
   
実際、「ダイエットを始めてから、スイーツが無性に食べたくて仕方なくなった」「お腹いっぱい食べても、デザートがないと物足りない」「一日中、甘いもののことばかり考えてしまう」という人は多い。

甘いものがやめられないのは、意志が弱いからだと、自分を責め、精神的に追い込まれてしまう人も少なくない。

甘い物が一切食べられないというのは、人間にとって非常に辛いことだ。
 
 
砂糖への欲求は、それほど強く、激しいものなのだ。
 
砂糖を徹底して排除し、お菓子類を一切摂らないのは、非常に強いストレスになって当然である。
 
砂糖は、決して悪者ではない。脳や体のエネルギー源となるだけでなく、心を落ち着けたり、ストレスを和らげたりする作用もあるのだから。
 
しかし、薬も過ぎれば毒になる。

砂糖は肥満の原因ではないといっても、ケーキやクッキーなど、砂糖とバターや生クリームをたっぷり使ったお菓子を食べすぎれば、当然カロリー過多になって、太ってしまう。
 
また、砂糖の過剰摂取により、必要以上に血糖値が高い状態が続くと、体は血糖値を下げようとして、大量のインスリンを放出する。インスリンは、糖を脂肪として蓄えようとする。

内臓脂肪が溜まり肥満になると、生活習慣病にかかりやすくなるのはこれまた、いうまでもないことなのである。


関連参照:
老化。焦げ・枯れ・錆びと
シニアからの栄養学
中高年からの筋肉作り  
サルコペニア予防  


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2015年4月2日木曜日

砂糖は体に悪くない!

砂糖には依存性があると言われている。
 
実際、太るとわかっているのに、甘いものがやめられない、仕事で疲れがたまると、ついついチョコレートやお菓子などを食べてしまうという人は多い。

 
ダイエットや健康に関する本では、砂糖こそが諸悪の根源だと言わんばかりだ。

 
砂糖はイライラやうつといった精神症状、貧血や頭痛、ダルさやめまいなどの身体症状を引き起こす「白い悪魔」であるらしい。


砂糖は中毒性のある恐ろしい食材であり、食べすぎると、「砂糖依存症」になってしまうという。
 
また、砂糖をたくさん摂る子どもはキレやすく、反社会的行動に走りやすいと、まことしやかに語る専門家もいる。
 
実は、この「砂糖悪者説」は、最近始まったものではない。
 
昭和10年代にはすでに、
「酸性食品である砂糖を食べると、体内のカルシウムが溶ける」という研究があった。

昭和50年代には、それが「砂糖の脱カルシウム作用」としてメディアに大きく紹介され、全国的に広まった。

子どものころ、親から「清涼飲料を飲むと歯や骨が溶ける」と言われた人も多いのではないだろうか?

 
しかし、これは根拠のないデタラメである。

現在の栄養学では、人間の体には血液を中性に保つ働きがあり、食べ物によって、酸性やアルカリ性に傾くことはないことがわかっている。
 
また、そもそも砂糖は酸性食品ではない。

砂糖は純粋な炭水化物であるため、酸性でもアルカリ性でもないのだ。
 
つまり、砂糖とカルシウムには、何の因果関係もないのである。

「砂糖は健康によいのか、悪いのか?」という問いかけは、長年、世界の研究者の間でも、議論が重ねられてきたのである。
 
近年、日本では、「悪い派」が猛威をふるっているが、世界的には、もうとっくに結論が出ている。

 
1997年4月、WHO(世界保健機関)とFAO(国連食糧農業機関)は、
「砂糖の摂取か行動過多(イライラして、暴力的になったり、落ち着きがなくなったりすること)を引き起こす」「肥満を促進する」といった説を否定し、「砂糖は安全な食品である」と宣言したのである。


砂糖は、「白い悪魔」ではないのである。

しょうゆ、みりん、酢などと同じ、数ある調味料のひとつにすぎないのだ。

毎日しょうゆを使っていても、「しょうゆ依存症」とは言わない。

いくら味噌が体にいいと言っても、食べすぎれば塩分過剰になってしまう。

砂糖もしょうゆも味噌も、適量ならまったく問題はないのである。