2014年9月26日金曜日

肥満をつくるホルモン「インスリン」

人間の生命活動には、ブドウ糖が不可欠です。

そのため体は、血糖値を上げる「グルカゴン」「アドレナリン」「コルチゾール」「成長ホルモン」など、複数のホルモンを備えています。

しかし、ブドウ糖を体内に取り込む(血糖値を下げる)ホルモンは、「インスリン」しかありません。


インスリンは肝臓のラングルハンス島という部位のβ細胞から、つねに少量分泌(基礎分泌)されています。

食事で炭水化物をとって血糖値が上がると、インスリンは追加分泌され、血糖値を下げるように働きます。

しかし、それでもブドウ糖が余ると、脂肪細胞内に中性脂肪として蓄えられます。

そして、脂肪細胞に中性脂肪がどれだけ蓄積されるか、ここに大きくかかわっているのもインスリンです。

ブドウ糖から脂肪がつくられるとは不思議でしょうが、人間の体はさまざまなメカニズムにより、エネルギーを蓄えるようになっているのです。


ブドウ糖から脂肪ができるのは、次のようなプロセスです。

まず、口から収り入れられた炭水化物は、胃や小腸で消化・吸収され、ブドウ糖として体内に取り込まれ、肝臓や筋肉内に蓄積されます。

そして、余ったブドウ糖は、アセチルCoAなどの脂肪酸合成酵素や、脂肪酸合成系回路の働きにより、遊離脂肪酸に変わり、最終的に中性脂肪として肝臓や脂肪細胞に蓄えられます。

この脂肪合成を促進しているのが、インスリンです。


したがって、インスリンの分泌量が多ければ多いほど、糖質をとればとるほど体に蓄積する脂肪が多くなるのです。

このように説明すると、インスリンは脂肪を溜め込む悪玉ホルモンに見えますが、インスリンが脂肪を溜め込むのは飢餓に備えるためなのです。

太るのは、糖質のとりすぎやカロリー過多が原因であり、インスリンの責任ではありません。

それより、インスリンは糖代謝、抗糖尿病、抗メタボリックシンドロームには不可欠であり、骨格筋におけるたんぱく質の合成や、肝臓の糖新生の抑制といった体の多くの生理機能に関与する重要なホルモンだと理解してください。

一方、脂肪を分解するのはアドレナリンや、その前駆体のノルアドレナリンという神経伝達物質で副腎髄質から分泌され、交感神経を刺激して、体のエネルギー代謝や脂肪分解効率を高めるホルモンです。

たとえば、起床後の空腹時には、体を活動的にするためにアドレナリンがどんどん分泌されて、交感神経が活発に働きます。


すると、脂肪が分解され、起床後のエネルギーを補います。

つまり、摂食時にはインスリンが脂肪を溜め込み、絶食時にはアドレナリンが脂肪を分解して活動干不ルギーを合成するというわけです。

これも人間が獲得したひとつの「飢餓対応システム」なのです。



関連参照:
サプリメントとの付き合い方
中高年からの筋肉作り   
「加齢」との付き合い方
つまらんことでしょうか




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