2014年2月19日水曜日
時計遺伝子の発見
時計遺伝子を発見したのは、1971年、アメリカの生物学者シーモア・ベンザーとロナルド・コノブカでした。
当時はまだ、ショウジョウバエのゲノムがすべて解明されてはいませんでしたが、羽が上に反り返ったりするという形態が、たったひとつの遺伝子の異常によって引き起こされることはわかっていました。
ベンザーは、この考えを進めて、形態だけでなく、体内時計のリズムにしたがった行動も、遺伝子の影響を受けるのではないかと考えたのです。
実際に実験にあたったのは、ベンザーの研究室の大学院生だったコノブカでした。
コノブカが注目したのは、ショウジョウバエの羽化が夜明け前に起こることでした。
そこで、遺伝子のさまざまな異常を起こしたショウジョウバエをつくりだして、羽化する時刻や周期を調べてみました。
すると、羽化の周期が24時間ではなく18時間と短くなったり、28時間と長くなったり、リズムがなくなったりしたのです。
また、それが子孫にも遺伝するものが見つかりました。遺伝するということは、遺伝子に問題があると考えられます。
そこで、それらの遺伝子を調べたところ、あるひとつの遺伝子の変異によって引き起こされることを突き止めたのです。
ベンザーとコノブカは、この時計遺伝子を(Period=周期)と名付けました。
この発見から20年以上経った1997年、日系の生物学者ジョゼフ・タカハシがマウスを使った実験によって、哺乳類初の時計遺伝子を発見し「Clock=時計」と名付けました。
このふたつのほか、ショウジョウバエからはTimelessやBMAL、植物からCryといった時計遺伝子が発見され、主なものとして約20が確認されています。
そして研究が進むにつれて、これらの時計遺伝子の中にはさまざまな生物に共通して含まれるものがあることがわかってきています。
関連参照:
遺伝子検査とその活用
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