イギリス・ロンドン大学のロバート・プロミン博士は、7000人の子供たちからDNAを採取し「DNAチップ」という方法を使って、高知能の人とそれ以外の人で遺伝子に違いがある場所がないか調査しました。
結果はそのような遺伝子の違いはほとんどなかったのです。
また、数学的な能力と遺伝子との関係も調べられたが、ここでも決定的な違いは見られなかったのです。
ところが、言語能力については興味深い例が報告されています。
それは「FOXP2」という遺伝子です。
まず、難読症(口に出して文字を正しく読むことができない)の家系で、この遺伝子の変異が報告されました。
この変異で、タンパク質のひとつアミノ酸がかわることになります。
次に、相互転座(染色体が切断されて、部分的にほかの染色体と入れ替わること)が原因で自閉症を発症する家系が見つかり、染色体が切断されるところにFOXP2が見つかったのです。
つまり、FOXP2遺伝子はアミノ酸の変化では難読症になり、遺伝子が真ふたつになったものでは、自閉症を発症することがわかったのです。
そこでチンパンジーとネアンデルタール人のFOXP2はどうか調べられた。
その結果チンパンジーではたったふたつのアミノ酸の変異が見つかっただけで、ネアンデルタール人の骨のDNAからは現生人類との違いは確認されなかった。
ただ、チンパンジーとヒトのFOXP2を用いた実験から、
「たったふたつのアミノ酸の変異」であってもDNAを転写するタンパク質の機能が異なり、転写する遺伝子群に違いがあることが分かりました。
これで、将来チンパンジーとヒトの言語能力の差がどこにあるのか解明できるかもしれないというのです。
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