加齢とともに、理解力や判断力、発想力が衰えてしまう人が多いのは、どうしてなのでしょう?
好奇心や興味が薄れると、脳の働きが悪くなってしまうのです。
脳は、五感から得た情報を取り込むと、その情報を理解・判断し、思考し、発想を生み出し、記憶します。
取り込まれた情報が最初に到達するのは「A10(エーテン)神経群」と呼ばれる部分です。
ここA10神経群には、好き嫌いをつかさどる「即坐核」、危機をつかさどる「扁桃核」、言語や表情、感情をつかさどる「尾状核」、意欲や自律神経をつかさどる「視床下部」などが集まっています。
A10神経群は、いわば感情をつくる中核であり、ここが壊れてしまうと「気持ち」を生むことができなくなります。
情報がたどり着くと、A10神経群ではその情報に対する感情が生まれ、情報に対してレッテルを貼ります。
「好きだ」「嫌いだ」「おもしろそうだ」「興味がない」だとかのレッテルをべたべたと貼り付けていくのです。
このレッテルが脳の働きに非常に大きな影響を与えます。
ここで、たとえば、マイナスのレッテルを貼られた情報は、その後の「理解・判断」「思考」「発想」「記憶」といった機能がしっかりと働かなくなるのです。
「好きな先生の授業は集中できるけれど、嫌いな先生の言うことは頭に入らない」といったことが起こるのは、A10神経群によるレッテルのはりつけによるものなのです。
ですから、年をとって「年だからもいいや」と考え、新しい目標に挑む気持ちや知らなかったことを学ぶ楽しみを失う人が少なくありません。
しかし、こうした「もういいや」という気持ちを持つことは、せっかくの脳の機能に「働くな」と待ったをかけるのと同じ なのです。
「もうそんな話は知っているよ」などと斜に構えるのも、よくありません。
いくつになっても好奇心で目をキラキラさせている人と、何でも「それは知っている」とうそぶく人とでは、脳の老けやすさに大きな違いが生まれます。
A10神経群が脳のなかでそのように働いているかを知っておくと、ものごとを前向きにとらえる重要性がよくわかると思います。
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